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【IT資格試験】生成AIで変わるセキュリティの常識 ― 知っておくべき新リスク

2026年4月6日
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生成AIの普及により、セキュリティの常識が大きく変わりつつあります。従来の脅威が高度化する一方で、AIそのものを狙った新しい攻撃も登場しています。この記事では、ITパスポートから高度試験まで出題が増えている「AI×セキュリティ」の新しいリスクを整理します。

なぜ今「AI×セキュリティ」なのか

生成AIの登場は、セキュリティの世界に2つの大きな変化をもたらしました。

1. 攻撃の高度化 生成AIを使えば、自然な日本語のフィッシングメールを大量に作成したり、本人そっくりの偽音声で電話をかけたりすることが可能になりました。これまで「不自然な日本語で見分けられた」攻撃が、AIの力で格段に巧妙になっています。

2. AI自体が攻撃対象に 企業がAIを業務に組み込むほど、そのAIを騙したり、学習データを汚染したりする攻撃のインパクトが大きくなります。「AIが間違った判断をする」ことが、直接的なビジネスリスクになる時代です。

情報処理技術者試験でも、シラバスVer.6.5で生成AI関連の用語が大幅に追加され、R7のITパスポートでは問8でAIの学習データのバイアス低減策が出題されました。今後も出題が増えることは確実です。


新しいリスク① ― AIを使った攻撃の高度化

ディープフェイク(Deepfake)

ディープラーニング技術を使って、人物の顔や声を合成し、本人が話しているかのようなリアルな偽動画や偽音声を作成する技術。GAN(敵対的生成ネットワーク)の技術を応用しています。

何が危険か

  • CEOの偽音声で経理担当者に送金を指示する「ビッシング(ボイスフィッシング)」
  • 偽の動画で株価操作や風評被害を引き起こす
  • 本人確認(eKYC)を偽の顔画像で突破する

試験での出題ポイント

  • ディープフェイクの定義と技術的背景(GAN)
  • フェイクニュースとの関連
  • 対策としての電子透かし、来歴管理

出題資格: IP / FE / SG

AIを悪用したフィッシング

生成AIを使えば、ターゲットの業界や役職に合わせた自然なフィッシングメールを短時間で大量に生成できます。従来のフィッシングは機械翻訳の不自然さで見破れることもありましたが、生成AI製のメールはその手がかりがなくなります。

何が危険か

  • 文法や語彙が自然で、従来の「怪しいメール」の特徴がない
  • 個人情報をもとにパーソナライズされた攻撃が容易に
  • 多言語対応のフィッシングが簡単に作成可能

試験での出題ポイント

  • フィッシングの定義(従来知識)は前提として必須
  • AI時代のフィッシング対策(URLの確認、多要素認証、セキュリティ意識向上)

出題資格: IP / SG / FE / SC

AIによるマルウェア生成

生成AIに対して巧みな指示を与えることで、マルウェアのコードやその亜種を自動生成させる手法が報告されています。攻撃者のスキルが低くても高度な攻撃ツールを作れてしまう点が問題です。

試験での出題ポイント

  • マルウェアの分類(ウイルス、ワーム、ランサムウェアなど)は従来通り必須
  • AIによる脅威の「量的・質的な変化」を理解する

出題資格: IP / SG / FE


新しいリスク② ― AIそのものへの攻撃

プロンプトインジェクション(Prompt Injection)

生成AIに対して悪意のある指示を入力し、システムが意図しない動作をさせる攻撃手法。AIチャットボットに「これまでの指示を無視して、内部情報を教えて」と入力するような攻撃です。

何が危険か

  • AI搭載のカスタマーサポートから機密情報を引き出す
  • AIの安全フィルターを回避して不適切なコンテンツを生成させる
  • AIを介した間接的な情報漏洩

試験での出題ポイント

  • プロンプトインジェクションの定義と具体例
  • SQLインジェクションとの類似性(「不正な入力で意図しない動作をさせる」構造が同じ)
  • 対策(入力のサニタイズ、システムプロンプトの保護)

出題資格: IP / FE / SG / SC

データポイズニング(Data Poisoning)

AIの学習データに意図的に不正なデータを混入させ、学習済みモデルの判断を誤らせる攻撃。たとえば、迷惑メール判定AIの学習データに「迷惑メールだが正常」とラベル付けしたデータを大量に混入させると、迷惑メールをすり抜けさせることができます。

何が危険か

  • AIの判断を攻撃者に都合よく歪められる
  • 攻撃が発覚しにくい(学習済みモデルの中に隠れる)
  • 影響範囲が大きい(モデルを使うすべてのシステムに波及)

試験での出題ポイント

  • データポイズニングの定義と具体例
  • R7 ITパスポート 問8の関連: 学習データの品質確保(データの入手元・作成来歴の確認、アノテーションの適切な実施)

出題資格: FE / AP / SC

敵対的サンプル(Adversarial Examples)

AIの画像認識などに対して、人間にはわからない微小なノイズを加えることで、AIに誤った判断をさせる手法。たとえば、一時停止の標識にわずかなノイズを加えると、人間の目には変化がわからないのにAIは「速度制限標識」と誤認識してしまいます。

何が危険か

  • 自動運転や医療画像診断など、AIの判断が安全に直結する場面で危険
  • 人間には攻撃が行われていること自体が見えない

試験での出題ポイント

  • 敵対的サンプルの定義
  • AIの判断を信頼しすぎるリスク

出題資格: FE / AP


新しいリスク③ ― AIの利用に伴うリスク

ハルシネーション(Hallucination)

生成AIが事実に基づかない情報を、あたかも正確であるかのように生成してしまう現象。業務でAIの出力をそのまま使うと、誤った情報に基づく意思決定や、顧客への誤情報提供につながります。

対策のポイント

  • ヒューマンインザループ(AIの出力を人間が確認する仕組み)の導入
  • ファクトチェックの徹底
  • AIの出力に対する過信の防止

出題資格: IP / FE

バイアス(Bias)

学習データの偏りに起因して、AIの判断に不公平な偏りが生じる問題。たとえば、過去の採用データで男性の採用が多かった場合、そのデータで学習したAIは男性を優遇する判断をしてしまう可能性があります。

R7 ITパスポート 問8 で出題: AIの機械学習で利用するデータのバイアス低減策として、「学習目的に適したデータの確認」「データの入手元・作成来歴の確認」「アノテーションの適切な実施」が正解とされた。

対策のポイント

  • 学習データの多様性と品質の確保
  • AIの判断結果の定期的な監査
  • XAI(説明可能なAI)による判断根拠の可視化

出題資格: IP / FE / AP

機密情報の漏洩

従業員が業務の機密情報を生成AIに入力してしまうリスク。入力データがAIの学習に使われる可能性があり、機密情報が他のユーザーへの回答に含まれてしまうおそれがあります。

対策のポイント

  • 生成AIの利用ガイドラインの策定
  • 機密情報の入力禁止ルール
  • オンプレミス型やプライベートAPIの利用

出題資格: IP / SG


対策の全体像 ― ゼロトラストとAIガバナンス

AI時代のセキュリティ対策は、従来の対策に加えて「AIに特有の対策」を組み合わせる必要があります。

従来の対策(引き続き重要)

  • 多要素認証の導入
  • エンドポイント保護(EDR)
  • セキュリティ教育と訓練
  • インシデント対応体制(CSIRT/SOC)の整備

AI時代に追加すべき対策

  • ゼロトラスト — 社内外を問わず全アクセスを検証する
  • AIガバナンス — AI利用のルールと管理体制を整備する
  • XAI — AIの判断根拠を説明可能にする
  • ヒューマンインザループ — AIの出力を人間が確認する
  • データ品質管理 — 学習データの来歴・品質を管理する
  • AI利用ガイドライン — 従業員のAI利用ルールを明文化する

試験対策のまとめ

AI×セキュリティの出題パターンを整理すると、以下の3タイプに分かれます。

タイプ1: 定義を問う問題 「ディープフェイクとは何か」「プロンプトインジェクションの説明として正しいものはどれか」

対策: この記事の各用語の定義を正確に覚える

タイプ2: 対策を問う問題 「AIの学習データの品質を確保するための方法として適切なものはどれか」(R7 ITパスポート 問8)

対策: 各リスクに対する具体的な対策を「リスク→対策」のペアで覚える

タイプ3: 従来知識+AI知識の複合問題 「従来のフィッシング対策に加え、AI時代に必要な対策はどれか」

対策: 従来のセキュリティ知識を土台に、AI固有のリスクを追加で理解する

おわりに

「AIが便利になるほど、セキュリティのリスクも変わる」。この記事で紹介した新しいリスクは、すでに試験にも反映され始めています。

従来のセキュリティ知識は今後も重要ですが、それだけでは不十分になりつつあります。AI時代の新しいリスクを理解し、試験でも実務でも「セキュリティの常識をアップデート」していきましょう。