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【情報処理技術者試験】全13資格を一覧で解説 ― 2026年度版・全区分CBT対応

2026年4月8日
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IPA(情報処理推進機構)が実施する「情報処理技術者試験」は、全13区分の国家試験で構成されています。本記事では、2026年度の試験体系と各資格の特徴、選び方を整理して解説します。

2026年度の試験実施について

全区分がCBT方式 応用情報(AP)や高度試験を含め、全区分がCBT(Computer Based Testing)方式で実施されます。記述式・論述式の解答もキーボード入力で行います。

試験時期 前期試験は11月頃、後期試験は2027年2月頃に実施されます。4月の試験はありません

科目名称 全区分で「科目A・科目B」という呼称が使われます。高度試験は「科目A-1・A-2・B-1・B-2」という構成です。

シラバス 法務分野では「下請法」が「中小受託取引適正化法(取適法)」に更新されています。


情報処理技術者試験の全体マップ

IPAの情報処理技術者試験は、レベル1からレベル4までの4段階で構成されています。

  • レベル1: ITを利活用するすべての社会人・学生向けの入門資格(1区分)
  • レベル2: IT技術者としての基本的な知識・技能を認定する資格(2区分)
  • レベル3: 応用的な知識・技能を持つIT人材を認定する資格(1区分)
  • レベル4: 高度な専門性を持つIT人材を認定する資格(9区分)

全13資格の一覧

レベル区分試験名2026年度の実施時期特徴
1IPITパスポート試験通年CBT (2027年1月頃に約1か月休止)IT基礎知識の入門資格
2SG情報セキュリティマネジメント試験通年CBT (2027年1月頃に約1か月休止)セキュリティ管理の基本スキルを認定
2FE基本情報技術者試験通年CBT (2027年1月頃に約1か月休止)ITエンジニアの登竜門
3AP応用情報技術者試験11月頃 / 2027年2月頃応用的な知識・技能を持つIT人材向け
4STITストラテジスト試験11月頃 (前期)IT戦略の策定・提案を行う人材向け
4SAシステムアーキテクト試験2027年2月頃 (後期)システムの上流工程を主導する人材向け
4PMプロジェクトマネージャ試験11月頃 (前期)プロジェクト管理の専門家向け
4NWネットワークスペシャリスト試験11月頃 (前期)ネットワークの設計・構築・運用の専門家向け
4DBデータベーススペシャリスト試験2027年2月頃 (後期)データベースの企画・開発・運用の専門家向け
4ESエンベデッドシステムスペシャリスト試験11月頃 (前期)組込みシステム開発の専門家向け
4SC情報処理安全確保支援士試験11月頃 / 2027年2月頃 (年2回)サイバーセキュリティの専門家向け
4SMITサービスマネージャ試験2027年2月頃 (後期)ITサービスの安定提供と改善を管理する人材向け
4AUシステム監査技術者試験11月頃 (前期)情報システムの監査・評価を行う人材向け

レベル1:ITパスポート(IP)

ITを利活用するすべての社会人・学生が対象の入門資格です。ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野からバランスよく出題され、120分で100問の四肢択一を解きます。通年CBTで受験可能、合格率は約50%です。

IT未経験者の最初の一歩として最も広く受験されており、年間受験者数は全区分で最多です。

2026年度の注意点 2027年1月頃にシステムリプレースのため約1か月間の一時休止が予定されています。また、シラバス改訂により「下請法」が「中小受託取引適正化法(取適法)」に更新されています。


レベル2:基本情報技術者(FE)・情報セキュリティマネジメント(SG)

基本情報技術者(FE)

ITエンジニアの登竜門です。科目A(60問・多肢選択)と科目B(20問・アルゴリズムとセキュリティ)で構成され、通年CBTで受験できます。テクノロジ系の比重が高く、擬似言語によるプログラムの読解が必須となるため、ITパスポートより大幅に難易度が上がります。合格率は約25〜30%です。

ITパスポート同様、2027年1月頃に一時休止期間があります。

情報セキュリティマネジメント(SG)

セキュリティ管理に特化したレベル2の資格です。科目A(48問)と科目B(12問・ケーススタディ)で構成されます。セキュリティ分野の出題比率が高く、実務で情報セキュリティに関わる人に直結する内容です。合格率は約50〜60%です。


レベル3:応用情報技術者(AP)

基本情報の上位に位置する、高度IT人材への入口となる資格です。CBT方式で実施され、記述式解答もキーボード入力で行います。

試験形式

  • 科目A: 80問の四肢択一
  • 科目B: 記述式(キーボード入力)、11問中5問を選択して解答

基本情報との違い

基本情報は全問が選択式ですが、応用情報の科目Bは記述式になります。単に知識を問うだけでなく、状況を読み取り、自分の言葉で解答を記述する力が求められます。また、テクノロジ分野だけでなくマネジメント系・ストラテジ系も科目Bの選択問題に含まれるため、幅広い応用力が問われます。

合格率・学習のポイント

合格率は約20〜25%です。科目A対策は基本情報の延長で対応できますが、科目Bの記述式にどれだけ慣れるかが合否を分けます。過去問演習が最も効果的な対策です。

2026年度の実施時期

11月頃(前期)と2027年2月頃(後期) の年2回実施。4月の実施はありません

合格後のメリット

応用情報合格者は、高度試験の科目A-1が2年間免除されます。高度試験を目指す場合、応用情報を先に取得しておくことで学習負担を大幅に減らせます。


レベル4:高度試験(9区分)

高度試験は、特定の専門分野に特化したレベル4の資格です。合格率はいずれも約12〜17%で、情報処理技術者試験の中で最も難易度が高い試験群です。全区分がCBT方式で、論述試験(論文)もキーボード入力で行います。

共通の試験形式

SCを除く8区分は、以下の4部構成で実施されます。

科目形式内容
科目A-1四肢択一 30問共通問題 (応用情報合格者は2年間免除)
科目A-2四肢択一 25問専門知識
科目B-1記述式 (キーボード入力・問題選択)専門分野の事例問題
科目B-2論述式 (論文・キーボード入力) または記述式論文または事例問題

実施時期

  • 前期(11月頃): AP, ST, NW, ES, PM, AU, SC
  • 後期(2027年2月頃): AP, SA, DB, SM, SC

応用情報とSCは年2回チャンスがあります。それ以外の高度試験は年1回の実施のため、不合格になると次の受験は1年後になります。計画的なスケジュール管理が重要です。

注意: 前期と後期の間隔が短い(11月と翌2月)ため、「前期の結果を見て後期に受ける」というサイクルが組みにくい点に注意してください。

論文区分について

ST, PM, SA, SM, AUの5区分では、科目B-2が論述試験(2,000〜3,000字の論文)となります。キーボード入力での解答となるため、文章構成の修正が容易である一方、一定のタイピング速度が求められます。

技術系

ネットワークスペシャリスト(NW)【前期・11月頃】

大規模なネットワークシステムの構築・運用に関する専門知識を問う試験です。TCP/IP、ルーティング、VPN、無線LAN、負荷分散など、ネットワーク技術全般が出題されます。インフラエンジニアやネットワークエンジニアが対象で、科目B問題ではネットワーク構成図を読み解く力が求められます。合格率は約14〜15%です。

データベーススペシャリスト(DB)【後期・2月頃】

データベースの企画・開発・運用・保守を担う人材向けの試験です。概念データモデリング、正規化、SQL、トランザクション処理、性能チューニングなどが出題されます。科目B問題ではER図の設計やSQLの記述が中心で、実務に直結する問題が多いのが特徴です。合格率は約15〜17%です。

エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)【前期・11月頃】

組込みシステムの設計・構築・製造を主導する人材を対象とした試験です。ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が求められ、IoT、リアルタイムOS、割込み制御、センサ技術などが出題されます。他の高度試験と比べて受験者数が少なく、組込み分野に特化したニッチな資格です。合格率は約16〜17%です。

情報処理安全確保支援士(SC)【前期・後期の年2回】

サイバーセキュリティの専門家を認定する試験です。科目A・科目Bともに年2回の期間内CBTで実施されます。科目B-2も論文ではなく問題選択式の記述試験であるため、高度試験の中では比較的取り組みやすい形式です。合格者は「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」として登録でき、士業としての独占名称を使用できます。合格率は約15〜17%です。

マネジメント系

プロジェクトマネージャ(PM)【前期・11月頃】

プロジェクト全体の計画・実行・監視・コントロールを担う人材向けの試験です。スコープ管理、スケジュール管理、コスト管理、リスク管理、品質管理などPMBOKに基づく知識体系が出題されます。科目B-2では自身のプロジェクト経験をもとにした論文を書く必要があり、実務経験の有無が大きく影響します。合格率は約13〜15%です。

ITサービスマネージャ(SM)【後期・2月頃】

ITサービスの安定的な提供と継続的な改善を管理する人材向けの試験です。ITILに基づくサービスマネジメントの知識が中心で、インシデント管理、問題管理、変更管理、サービスレベル管理などが出題されます。運用・保守の現場でリーダーシップを発揮する立場の人に適しています。合格率は約13〜15%です。

システム監査技術者(AU)【前期・11月頃】

情報システムのガバナンス・マネジメント・コントロールを独立した立場から検証・評価する監査人を対象とした試験です。監査基準、監査手続、内部統制、リスクアセスメントなどが出題されます。IT技術だけでなく、経営や法務の知識も求められる点が特徴です。合格率は約14〜15%です。

戦略・設計系

ITストラテジスト(ST)【前期・11月頃】

経営戦略に基づくIT戦略の策定・提案・推進を行う人材向けの試験です。ビジネスモデル、事業戦略、IT投資評価、業務改革など、技術よりも経営寄りの知識が問われます。高度試験の中でも最も経営層に近い立場を想定しており、CIOやITコンサルタントを目指す人に適しています。合格率は約14〜15%です。

システムアーキテクト(SA)【後期・2月頃】

情報システムの上流工程を主導し、業務ニーズに適したアーキテクチャを設計・評価する人材向けの試験です。要件定義、外部設計、システム方式設計などが出題されます。科目B-2の論文では、システム設計における意思決定の根拠を論理的に説明する力が求められます。合格率は約13〜15%です。


キャリアパス別おすすめルート

目指す方向性に合わせて、以下のルートを参考にしてください。

方向性おすすめルートポイント
IT全般を幅広くIP → FE → AP最も王道のルート。IT基礎から応用まで段階的にスキルを積み上げる
セキュリティ専門IP → SG → SCSCは年2回チャンスがあり、高度試験の中では計画を立てやすい
インフラエンジニアFE → AP → NW / DBNWは前期、DBは後期で連続挑戦も可能
開発・設計FE → AP → SA上流工程のシステム設計を主導したいエンジニア向け
マネジメントFE → AP → PM / SMPMは前期、SMは後期
経営・コンサルIP → FE → AP → STITストラテジストは高度試験の中でも最も経営寄り
組込み系FE → AP → ESIoTや組込みシステム専門のエンジニア向け
監査FE → AP → AUIT技術に加え、経営管理や内部統制の知識も求められる

おわりに

2026年度は4月に試験がありません。11月の前期試験に向けて、早めに準備を開始しましょう。受験する資格が決まったら、まずは用語のインプットから始めるのが最短ルートです。

この記事の情報は2026年3月時点のものです。最新情報は必ずIPA(情報処理推進機構)の公式サイトをご確認ください。