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【基本情報技術者】ITパスポートとの違い&ステップアップで押さえる用語20選

2026年4月24日
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この記事では、ITパスポートに合格した方が次のステップとして基本情報技術者試験に挑戦する際に、新たに押さえるべき用語を20個厳選して紹介します。「ITパスポートとどう違うの?」「何を重点的に勉強すればいい?」という疑問に答えます。


こんな人におすすめ

  • ITパスポートに合格し、次に基本情報技術者試験を考えている人
  • 基本情報のテクノロジ系で何が深くなるのか把握したい人
  • 科目Bのアルゴリズム対策として、押さえるべき概念を整理したい人
  • ITパスポートの知識を土台にして、効率よく基本情報対策を始めたい人

目次

  • ITパスポートと基本情報技術者試験の違い
  • 基本情報技術者試験の概要
  • ステップアップで押さえる用語20選
    • データ構造(スタック / キュー / 2分探索木)
    • アルゴリズム(2分探索法 / クイックソート / 再帰 / 計算量)
    • コンピュータの仕組み(補数 / パイプライン / キャッシュメモリ)
    • OS(プロセスとスレッド / 仮想記憶 / ラウンドロビン)
    • データベース(正規化 / SQL / トランザクションとACID特性 / デッドロック)
    • ネットワーク(OSI基本参照モデル / サブネットマスク)
    • 開発技術(オブジェクト指向プログラミング / ホワイトボックステストとブラックボックステスト)
  • まとめ

ITパスポートと基本情報技術者試験の違い

ITパスポート(IP)と基本情報技術者試験(FE)は、どちらもIPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験ですが、位置づけと求められる深さが大きく異なります。

  • レベル — IP: レベル1 / FE: レベル2
  • 対象者 — IP: ITを利活用するすべての社会人・学生 / FE: ITエンジニアの登竜門
  • 試験形式 — IP: 4択 100問(120分) / FE: 科目A: 60問90分 / 科目B: 20問100分
  • 出題方式 — IP: CBT(通年実施) / FE: CBT(通年実施)
  • 合格基準 — IP: 総合600点以上 + 各分野300点以上 / FE: 科目A・科目B 各600点以上
  • 分野バランス — IP: ストラテジ35% / マネジメント20% / テクノロジ45% / FE: テクノロジ系の比重が大きく増加

大きな違いは3つ

1. テクノロジ系の深さが段違い

ITパスポートではIT用語の「意味」を知っていれば解ける問題が中心ですが、基本情報では「仕組みを理解して計算や判断ができるか」が問われます。たとえばITパスポートでは「キャッシュメモリとは何か」を選べればよいが、基本情報では「キャッシュメモリのヒット率から実効アクセス時間を計算する」問題が出ます。

2. 科目Bでアルゴリズムとプログラミングが必須

基本情報最大の特徴が科目Bです。擬似言語で書かれたプログラムを読み、処理をトレースして結果を答える問題が出題されます。データ構造(スタック、キュー、木構造など)やアルゴリズム(ソート、探索など)の具体的な動きを理解していないと太刀打ちできません。ITパスポートにはこのタイプの出題は存在しません。

3. 計算問題が増える

2進数の変換、浮動小数点数の表現、ネットワークのサブネット計算、稼働率の計算など、数値を求める問題が基本情報では多く出題されます。ITパスポートでも計算問題はありますが、基本情報では計算の手順そのものを理解しているかが試されます。


基本情報技術者試験の概要

  • 試験名 — 基本情報技術者試験(FE)
  • 主催 — IPA(情報処理推進機構)
  • 試験方式 — CBT(Computer Based Testing)
  • 科目A — 60問 / 90分 / 4択
  • 科目B — 20問 / 100分 / 多肢選択
  • 合格基準 — 科目A 600点以上 かつ 科目B 600点以上(各1,000点満点)
  • 実施時期 — 通年(随時受験可能)

科目Aは従来の午前試験に相当し、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系から幅広く出題されます。科目Bは従来の午後試験に相当し、アルゴリズムとプログラミング(擬似言語)が中心。情報セキュリティからも出題されます。


ステップアップで押さえる用語20選

ここからは、ITパスポートの知識だけでは足りない、基本情報で新たに深く問われる用語を20個紹介します。各用語について「ITパスポートレベルとの違い」も記載しているので、どこに力を入れて学習すべきかの参考にしてください。

データ構造

1. スタック(Stack)

データの挿入と取り出しが同じ端から行われるデータ構造。LIFO(Last In, First Out:後入れ先出し)の原則に従います。関数の呼び出し管理、括弧の対応チェック、逆ポーランド記法の計算に使用されます。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「LIFOの意味」を選べれば十分ですが、基本情報の科目Bでは、スタックに対してpushやpopを繰り返した結果どうなるかを実際にトレースさせる問題が出ます。擬似言語の中でスタックが使われるコードを追えるようにしておく必要があります。

2. キュー(Queue)

データの挿入を末尾、取り出しを先頭から行うデータ構造。FIFO(First In, First Out:先入れ先出し)の原則に従います。タスクの待ち行列管理やプリンタのジョブ管理に使用されます。

ITパスポートとの違い: スタックと同様、ITパスポートでは「FIFOの意味」がわかればよいが、基本情報ではキューを使った処理のトレースが出題されます。enqueue(追加)とdequeue(取り出し)の操作を正確に追えることが求められます。

3. 2分探索木(Binary Search Tree)

左の子ノードの値が親より小さく、右の子ノードの値が親より大きいという条件を満たす2分木。探索・挿入・削除の平均計算量がO(log n)で効率的。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは木構造の概念程度しか問われませんが、基本情報では「要素を挿入した後の木の形を答えよ」といった問題が出ます。ノードの大小関係をたどってデータを探す手順を、図を描きながら練習しておきましょう。

アルゴリズム

4. 2分探索法(Binary Search)

整列済みデータの中央値と目的の値を比較し、探索範囲を半分に絞り込む操作を繰り返す探索アルゴリズム。計算量はO(log n)で効率的。データが事前に整列されている必要があります。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「2分探索とは何か」の説明を選ぶ程度ですが、基本情報では「1,000件のデータから2分探索で最大何回比較するか」を計算させる問題が出ます。log2(n)の計算ができるようにしておきましょう。

5. クイックソート(Quick Sort)

基準値(ピボット)を選び、それより小さい値と大きい値に分割する操作を再帰的に繰り返す整列アルゴリズム。平均計算量はO(n log n)で高速ですが、最悪の場合O(n^2)になります。

ITパスポートとの違い: ITパスポートではソートアルゴリズムの名前と概要を押さえれば十分ですが、基本情報では「ピボットを選んで分割する過程」を具体的な数列で追わせる問題が出ます。バブルソートや選択ソートとの計算量の違いも整理しておきましょう。

6. 再帰(Recursion)

関数が自分自身を呼び出して問題を解く手法。問題を同じ構造の小さな部分問題に分割して解く場合に有効。基底条件(再帰の終了条件)と再帰呼び出しで構成されます。フィボナッチ数列やハノイの塔が典型例。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは出題されない概念。基本情報の科目Bで擬似言語のプログラムに再帰が登場するため、「関数が自分自身を呼ぶ」という流れを呼び出しの階層ごとに追えるようにしておく必要があります。スタックの動きと合わせて理解すると効果的。

7. 計算量 ― O記法(Order Notation)

アルゴリズムの効率を表す指標。データ量nに対して処理にかかる時間や空間がどの程度増えるかを、O(1)、O(log n)、O(n)、O(n log n)、O(n^2)などで表現します。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは計算量という概念自体がほぼ出題されません。基本情報では「このアルゴリズムの計算量はどれか」を問う問題が定番。線形探索がO(n)、2分探索がO(log n)、バブルソートがO(n^2)、クイックソートの平均がO(n log n)という対応を覚えておきましょう。

コンピュータの仕組み

8. 補数(Complement)

ある数を基数のべき乗から引いた値のこと。コンピュータでは負の数を表現するために2の補数が広く使われます。2の補数はビットを反転して1を加えることで求められ、加算回路だけで減算を実現できます。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは出題されません。基本情報では「8ビットの2の補数表現で-5を表せ」のような問題が出ます。ビット反転+1の手順を確実にできるようにしておきましょう。表現できる範囲(8ビットなら-128~127)も頻出。

9. パイプライン(Pipeline)

命令の実行を複数のステージ(命令取出し、解読、実行、書戻しなど)に分割し、各ステージを並行して処理するプロセッサの高速化技術。複数の命令を流れ作業のように同時処理することでスループットを向上させます。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「パイプラインとは何か」を知っていればよいが、基本情報では「5ステージのパイプラインで10命令を実行するのに何クロック必要か」という計算問題が出ます。最初の命令がステージ数分、以降は1クロックずつ加算するという考え方を身につけておきましょう。

10. キャッシュメモリ(Cache Memory)

CPUと主記憶装置の間に配置される高速な記憶装置。頻繁にアクセスされるデータを一時的に保持し、メモリアクセスの高速化を実現します。L1キャッシュ、L2キャッシュなど階層構造を持ちます。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「キャッシュメモリの役割」を選ぶ問題ですが、基本情報では「キャッシュのヒット率が0.9、キャッシュのアクセス時間が10ns、主記憶のアクセス時間が100nsのとき、実効アクセス時間は何nsか」を計算させます。実効アクセス時間 = ヒット率 x キャッシュアクセス時間 + (1 - ヒット率) x 主記憶アクセス時間、という公式を使いこなせるようにしましょう。

OS(オペレーティングシステム)

11. プロセスとスレッド(Process / Thread)

プロセスは実行中のプログラムのインスタンスで、独立したメモリ空間を持ちます。スレッドはプロセス内で実行される処理の最小単位で、同一プロセス内のスレッドはメモリ空間を共有します。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは出題頻度が低いです。基本情報ではプロセスの状態遷移(実行可能→実行→待ち状態→実行可能)を理解した上で、マルチタスクの動きを追う必要があります。スレッドがメモリを共有するメリット・デメリットも問われます。

12. 仮想記憶(Virtual Memory)

主記憶と補助記憶を組み合わせて、物理メモリ以上のメモリ空間をプログラムに提供する技術。ページング方式が代表的で、必要なページのみを主記憶に読み込むデマンドページングが一般的。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「仮想記憶の概念」を知っていればよいが、基本情報ではページング方式の仕組み、ページフォールト発生時の処理、LRU(Least Recently Used)などのページ置換アルゴリズム、さらにスラッシング(ページフォールトが頻発してシステム性能が極端に低下する現象)まで理解が求められます。

13. ラウンドロビン(Round Robin)

各タスクに均等なタイムスライス(時間枠)を割り当て、順番にCPUを使用させるスケジューリング方式。タイムスライスが経過するとタスクは中断され、キューの末尾に戻ります。

ITパスポートとの違い: ITパスポートではスケジューリングの概念自体が問われる程度ですが、基本情報では「タイムスライス200msで3つのタスクを実行したとき、各タスクの完了時刻はいつか」といった具体的な計算が出ます。タスクの実行順をタイムライン上で追える力が求められます。

データベース

14. 正規化(Normalization)

関係データベースにおいて、データの重複や更新時の矛盾を排除するためにテーブル構造を段階的に整理する手法。第1正規形(繰り返し項目の排除)、第2正規形(部分関数従属の排除)、第3正規形(推移的関数従属の排除)の順に進めます。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「正規化とは何か」の概要を知っていればよいが、基本情報では実際のテーブルを見て「このテーブルは第何正規形か」「第3正規形にするにはどう分割するか」を判断させる問題が出ます。関数従属の概念を理解し、具体例で練習することが必須。

15. SQL(Structured Query Language)

関係データベースの操作に使用される標準的なデータベース言語。データ定義言語(DDL: CREATE, ALTER, DROP)、データ操作言語(DML: SELECT, INSERT, UPDATE, DELETE)、データ制御言語(DCL: GRANT, REVOKE)に分類されます。

ITパスポートとの違い: ITパスポートではSQLの基本的な役割を知っていればよいが、基本情報ではSELECT文の具体的な構文を読み解く問題が出ます。WHERE句の条件指定、GROUP BYによる集約、JOINによるテーブル結合、副問合せなど、実際にSQLを読んで結果を判断できるレベルが求められます。

16. トランザクションとACID特性(Transaction / ACID Properties)

トランザクションはデータベースに対する一連の処理を1つの論理的な作業単位としてまとめたもの。ACID特性として、原子性(Atomicity)、一貫性(Consistency)、独立性(Isolation)、永続性(Durability)の4つを満たす必要があります。

ITパスポートとの違い: ITパスポートではトランザクションの概念を知っていればよいが、基本情報ではACIDの各特性を正確に説明できることが求められます。さらにコミットとロールバックの使い分け、障害発生時のリカバリ手順(ロールフォワード、ロールバック)まで理解が必要。

17. デッドロック(Deadlock)

2つ以上のトランザクションが互いに相手がロックしているリソースの解放を待ち合い、処理が永久に進まなくなる状態。DBMSがデッドロックを検出した場合、一方のトランザクションを強制的にロールバックして解消します。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは用語としての出題が中心ですが、基本情報では「トランザクションAがテーブルXをロック、トランザクションBがテーブルYをロック、次にAがYを要求しBがXを要求」という具体的なシナリオでデッドロックの発生を判断させる問題が出ます。排他制御(ロック)の仕組みとセットで理解しておきましょう。

ネットワーク

18. OSI基本参照モデル(OSI Reference Model)

ISOが策定した通信プロトコルの7層構造モデル。物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層で構成され、各層の役割と層間の関係を定義します。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「7層のモデルがある」ことを知っていればよいが、基本情報では各層の具体的な役割と、その層で動作するプロトコルや機器の対応を問われます。たとえば「ルータはどの層で動作するか(ネットワーク層)」「TCPはどの層のプロトコルか(トランスポート層)」といった問題が出ます。TCP/IPの4層モデルとの対応関係も重要。

19. サブネットマスク(Subnet Mask)

IPアドレスのネットワーク部とホスト部の境界を示す32ビットの値。ネットワークの分割(サブネット化)に使用され、同一サブネットに属する機器の判定やルーティングに不可欠。

ITパスポートとの違い: ITパスポートではサブネットマスクの意味を選ぶ程度ですが、基本情報では「IPアドレス 192.168.1.130、サブネットマスク 255.255.255.192 のとき、ネットワークアドレスは何か」を計算させます。IPアドレスとサブネットマスクの論理AND演算でネットワークアドレスを求める方法、ホスト数の計算(2のホスト部ビット数乗 - 2)を確実にできるようにしておきましょう。

開発技術

20. オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming)

データ(属性)とそれに対する操作(メソッド)をオブジェクトとしてまとめてプログラムを構成する手法。カプセル化(データと操作の一体化・情報隠蔽)、継承(既存クラスの性質を引き継いで新しいクラスを作成)、ポリモーフィズム(同じ操作でもオブジェクトによって異なる動作をする)が三大特徴。

ITパスポートとの違い: ITパスポートでは「オブジェクト指向とは何か」の概要を知っていればよいが、基本情報では三大特徴それぞれの仕組みを具体的に理解する必要があります。たとえば「スーパークラスのメソッドをサブクラスで再定義する操作を何というか(オーバーライド)」「引数の型や数で同名メソッドを使い分ける仕組みを何というか(オーバーロード)」といった問題が出ます。UMLのクラス図を読める力も求められます。


まとめ

ITパスポートから基本情報技術者へのステップアップで最も大きな壁は、「用語を知っている」から「仕組みを理解して使える」へのレベルアップです。特に以下の3点を重点的に対策しましょう。

  1. 科目B対策: スタック・キュー・木構造などのデータ構造と、ソート・探索などのアルゴリズムを、擬似言語のコード上でトレースできるようにする
  2. 計算問題対策: 補数の変換、パイプラインのクロック数、キャッシュの実効アクセス時間、サブネットマスクの計算など、公式を使った数値計算に慣れる
  3. データベースの深堀り: 正規化の判定、SQLの読解、トランザクション処理の理解を、具体例を通じて定着させる

今回紹介した20の用語は、いずれも基本情報の頻出テーマから厳選したもの。まずはこの20語をしっかり理解することで、ITパスポートと基本情報の「差分」を効率よく埋めることができます。

おわりに

この20語は出発点です。まずはこの20語を確実にして、次のステップに進みましょう。


この記事は基本情報技術者試験の学習支援を目的として作成しています。試験の最新情報はIPA(情報処理推進機構)の公式サイトをご確認ください。